FOOD
こどもを育てるように育てられた穀物
雑穀: 耕房 野の風(佐賀県塩田町)


佐賀県塩田町、山に囲まれた緑豊かな町で、作物と向かい合い、こどもを育てるように作物を育てる。できるだけ農薬や肥料(化学肥料、有機肥料を含めて)に頼らずに身近な山や森の仕組み、循環にならって、作物自体のもつ育とうとする力を生かす栽培方法に取り組まれている「耕房野の風」。丁寧に手をかけ生産から加工までを行われています。
森や山や土の事をいとおしく思い尊敬しながら農業をされているご家族です。みなさまとても穏やかで柔らかで素直な方達。
その一方で、できるだけ農薬や肥料にたよらない農法は効率とは無縁の、どれも途方もなく手間が かかる作業ばかりです。たとえば、田植え。よく見かける田んぼからしたら、これは田植えしてあるんだろうか、というくらい少なく植えてあります。なぜかというと、稲一本一本が光をよく浴びてのびのびと根を伸ばし成長するために稲の苗1本あたりの田んぼの中の面積が広くとってあるからです。「1本植え」という方法だそう。少ない面積にたくさん植えればそれだけ収穫の量も増えますが、稲の苗1本あたりの面積は少なく、密集しているので太陽の光も入りづらく根っこも広々とは伸ばせないのでそれなりの成長しかできません。1粒あたりの種からできるお米の粒の数を比べると、一般的な田んぼでは「1400粒くらい」野の風の「1本植え」だと「3200粒くらい」となんと2倍近く差がでます。3200粒は約オ茶碗1杯分くらいです。お米1粒のパワーおそるべし。それでも一般的な田んぼよりは面積での収穫量では少ないそう。それでもお米1粒にのびのびと育ってほしいので「1本植え」をしているそうです。

手前が野の風、奥が一般的な田んぼ。違いが一目両全です。
自分たちの効率よりも、作物たちの居心地の良さのようなものを考えるこどもを育てるように作物を育てる「野の風」ならではの考えかただなぁと思います。
七穀米や三穀米、もち麦などのごはんに混ぜて炊くものや、粉ものを毎日のごはんに、たまにの手作りおやつやパンなどに。

七穀米おにぎり。7つの穀物の食感と味わいがじんわり美味しい。

全粒粉クッキー。ざくざく感と粉のうまみが楽しめる。